美女とコーヒーの出てくる本を紹介します

bookyaの本の紹介

美女と美味しいコーヒーのある本をご紹介

迷いは良いことなのです

 私は迷うことが得意である。それは幼少の頃、母が私に言った「日本は島国だからね。迷っても海外に出ることはないんだよ」という、今にして思えば『だからどうした?それでも迷子は怖いだろ』と即ツッコミを貰っても良かろう言葉に母性に似た安心感を得たからである。そのため私は迷うても狼狽なく、珈琲を啜ることができる。履歴書に『特技は迷うこと』と記せば、面接官は揃って「こんな人材はダメだ。彼を入れてみろ。たちまち我々をも迷いの森へ手招きするに違いない」と顔面蒼白にお祈りを送ってくることは火を見るより明らかであるから、私はこの特技を心にそっと仕舞いこんだ。

 大学生になったころ、私には将来を如何にして生き、謳歌し、如何にして美女と結婚するか… という難題が常に頭を支配していた。迷うことが得意な私であるから、そのような悩みや迷いはいくつも頭の中に存在しており、解決の手立ての無いそれらに昼も夜も寄り添っていた。その辺りから、どうやら私の周りで賢そうにノートを綴っている彼や友達とおしゃべりしている彼女らも常に何かしらで迷っているらしいと知った。加えて、数多くの先人方も若き頃は私と寸分違わぬ道で迷っていたというのだ。

 現代社会になり誰しもが迷う時代になったと言うが、それは誤りである。いつの時代も人々は迷子である。迷いを無くしてズンズンと歩むものはアホかドアホゥのいずれかで、そのようなものは生存競争から既に脱落している。今日、我々がこうして暮らしていることには迷いと、そこに生まれる思考があったからに他ならない。

 私は迷うことが得意である。そして今も解決の糸口を探すために右往左往と思考を巡らせています。これは良いことなのです。読者諸君、刮目せよ。私は今後も安心して迷って行くのだ。ウロウロと脳みその中を駆け回り、いつしか答えを見つけてみせようぞ。さらにはいつの日か『こんな私でも美女を奥さんに!今すぐできる美女攻略の7ステップ』を執筆するのだ。これぞ我が人生の意義であり、迷いの中に見つけた希望である。

 決断?そんなものは、するだけ無駄である。