美女とコーヒーの出てくる本を紹介します

bookyaの本の紹介

美女と美味しいコーヒーのある本をご紹介

母よ。

今週のお題「母の日」である。母の日を語るに際して、小っ恥ずかしさがフツフツと溢れてくるのは何故か。これは男性諸君であれば理解できると思うし、女性諸君に至っては「お父さん、いつもありがとう」と面と向かって言う時のソレに似ている。その言葉に偽りはないども、心には羞恥から身を守るための防護服を何重にも着込ませる必要がある。でなければ実の両親に対する真の愛など声門を震わせるほどまでに上がってこないのだ。

私の母は聖母ではない。かといって肝っ玉カーチャンとも言えない。彼女は言うなれば『テキトーであり寛容な人』であった。私がまだ純真無垢で目に満点の星空を閉じ込めていた頃に将来の不安について母に尋ねたことがある。母はしばらく思案したのち、「ご飯に困らなければ仕事なぞ何でも良い。成るように成るさ」とケ・セラ・セラと笑ってみせた。家族旅行の際に山道で道に迷ったらしい。彼女は窓の外を見て「日本は島国だからね。いくら迷っても海外に行くことはないよ」と語ってみせ、そういった言動には彼女の達観しているかの様が垣間見れた。そして、そんなテキトーかつ寛容な性格の母は私の母として満点であった。