美女とコーヒーの出てくる本を紹介します

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美女と美味しいコーヒーのある本をご紹介

今更な、タイニー・タイニー・ハッピー

〜仕事前に一杯〜

今更、タイニー・タイニー・ハッピー(飛鳥井千砂)を読んでみた。物語の主人公は章ごとに変わるが、それぞれが全く異なった世界を歩むのではない。皆、タイニー・タイニー・ハッピー略して「タニハピ」と呼ばれる大型のショッピングセンターを中心にぐるぐる回るのだ。

 タニハピではアパレル、飲食店、雑貨など様々テナントが軒を連ねており、私には地元近くのショッピングモールが思い浮かばれた。年中煌びやかに装飾されており、あれだけの人々が往来する中でもイイニオイが鼻腔をくすぐるあの建物だ。あれは香水か、それともまだ買い主不在の新しい服や靴のニオイか私には分からない。私の町は全国的に言って「田舎」と称される部類であるが、そのニオイは私にとって都会文化的薫香であった。

 作中の人々はタニハピ中央フロアの一階に入っているコーヒーショップに度々足が向かう。羨ましいかな、このコーヒーショップは24時間営業である。私の近所では23時が門限のマクドナルドが最長の夜更かし様であり、その他の店は早々に寝静まる。23と24では1程しか変わらない。しかして、そこには大きな広がりがあるのだ。つまり、早朝にコーヒーを啜れるか否かある。早朝にすするコーヒー。まだ通勤者もいない青い朝。今日の始まりのような時間であればなお良い。普段の日常とは異なる、まるで別世界に迷い込んだかのような感覚で啜るコーヒーほど心を働かせるものは無いと思う。非日常に飢えた私にとって、それは小さな旅行であり、早起きのご褒美なのだ。