美女とコーヒーの出てくる本を紹介します

bookyaの本の紹介

美女と美味しいコーヒーのある本をご紹介

今更な、ペンギン・ハイウェイ

~お父さんやお姉さんと飲むコーヒー~

今更、ペンギン・ハイウェイ森見登美彦)を読んでみる。この作品は2018年にアニメ映画化された。

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主人公−アオヤマ君は大変勤勉な小学4年生である。毎日きちんとノートを取ることやいっぱいの本を読むことからも彼自身、知識の多さを自負している。好奇心も旺盛で生き物、海、ロボット、宇宙と彼の興味が及ぶものはなんでも研究してしまう。そんな彼の住む街に突如、ペンギンが現れた。しかも一匹ではない。通学途中の空き地に沢山のペンギンがよちよち歩き回っているではないか。私が動物園で見たペンギンは愛くるしいが、まるで求愛行動で己が存在を周囲の異性にアピールするが如く甲高い声をキーキーと響かせていた記憶がある。そんなペンギンが声をあげながら目の前にいる。さぞ多くの見物人が集まったことであろう。そして誰も触れられなかったに違いない。彼の好奇心に火がついたのはその時だ。彼の研究対象を並べた棚があるならば、その最上段にペンギンが飾られた。そして、その隣には『おっぱい』が堂々と鎮座していることであろう。

 さんざん小学生らしからぬアオヤマ君を紹介したが、彼が小学生の様相を捨て大人への階段を足早に進んでいるわけではない。ただ、彼の周りには魅力的な大人が多く、大人への憧れを抱かずにはいられないのである。アオヤマ君のお父さんは彼の研究を見守り、時には師のように彼にアドバイスをおくる。お父さんからもらった方眼ノートはアオヤマ君の研究がぎっしりと詰まっているのだ。歯科助手のお姉さんはチェスを教え、その不思議な雰囲気でアオヤマ君を酔わせる。彼の研究対象である『おっぱい』は彼女の大きな双丘に惹かれたためであった。

 お父さんとお姉さんの二人とアオヤマ君はコーヒーを飲む。3人で飲むことはない。それぞれと二人きりで飲むのだ。コーヒーはアオヤマ君を二人の大人との目線を同じ高さにしてくれる飲み物であるようだ。もちろん、その時はミルクも砂糖も入れずに飲むのである。