美女とコーヒーの出てくる本を紹介します

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美女と美味しいコーヒーのある本をご紹介

今更な、珈琲店タレーランの事件簿

~理想ともいうべきコーヒーの味。~

 今更、珈琲店タレーランの事件簿(岡崎琢磨)を読んでみる。この作品は2012年に発売され、第10回『このミステリーがすごい! 』大賞にて編集部推薦の「隠し玉」となった。

 

 舞台は京都。二条通との交差点を少し過ぎたあたりにレトロな電気看板がある。〈純喫茶 タレーラン コチラ☝︎〉 珈琲好きの主人公−アオヤマは雨宿りを兼ねてその店に立ち寄った。デート中、怒って走っていった彼女を追いかけている途中の出来事である。

 店の中には、女子高生くらいにもみえる少女−切間美星(きりまみほし)がエスプレッソマシンを操り珈琲を淹れる。彼女はこの喫茶店バリスタなのであった。

 注文したホットコーヒーを一口飲んだアオヤマは「出会った!」と叫びたくなるほどの感動を覚える。まさに彼の理想の珈琲であったからだ。理想の珈琲とは『悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い』とフランスの伯爵のタレーランは言ったそうである。アオヤマが出会ったのはそんな珈琲だった。かくいう私も、この言葉には読んでいて驚いた。黒の中に天使や恋のような純粋さと甘さがあったなんて!この文言を目にしてから、珈琲がより美味しく感じるのは気のせいだろうか。アオヤマはそんな衝撃の中、バリスタの美星と目が合う。彼女がふわりと微笑んで…虜になったそうな。それは彼女になのか珈琲になのか。私なら両方に魅了され、顔を真っ赤にさせた後、珈琲に目を落としたことだろう。

 美星は可愛くて理想の珈琲を淹れてくれるのみではない。なんとも聡明な頭脳の持ち主で、アオヤマの抱えた謎を解決していく。そして、その頭脳をフル回転させるためにコーヒーミルでコーヒー豆を挽くのである。たしかにマシンを操る力強い姿も良いのだが、美女には小さいミルを使って淹れてもらいたいものだ。余談だが、調べてみると京都に向かうには高速バスで片道5000円程であった。