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ターザンから大学生へ変貌

 今週のお題「新生活おすすめグッズ」と聞き、私は大学入学当初の『新生活』を思い出す。当時の私は初めて一人暮らしをすることもあり、夢物語のようにキラキラした妄想を胸の内に溜め込んでいた。どうやら初経験や新年度といった変化に対して、私は不要に期待しすぎる癖があるらしく、今でも桜が咲くたび腹の底から「何か、楽しそうなことが起こる」という根拠のない気持ちが湧き出してくる。

 衝撃は服装と髪型であった。一緒に入学した面々をみて本当に同級生かと疑問に思うほど、彼ら彼女らは大人の様相を飼いならしていた。対して私ときたら、ヘンテコなロゴのついた服や丈の合わないズボンを身につけている。田舎出の私にとって高校時代の私服など陰部に葉っぱをつけたも同然で、ターザンと変わらない様であった。髪型に対してもワックスの正しいつけ方も分からず、ベタベタと髪に塗ったくった経験しかなかった。そのような有様であるから余計に獣臭さが目立っていたに違いない。

 髪にワックスを塗ったターザンが人里に降り、現代社会に生きる若者とコミュニケーションを取ることは困難を極めた。理由はお察し願いたい。おそらく彼らは干し柿に甘い蜜を垂らしナイフとフォークを駆使して食すのだろうと想像したほどである。

 入学早々これでもかと打ちのめされたが、諦めるわけにはいかない。これから四年間を彼らと過ごすことになるからだ。『青春』を謳歌するには先ず見た目だと推測し、陰部の葉っぱをスキニージーンズに変え、恥ずかしがりながら初めて美容院で髪を整えた。似合っているか無いかもわからぬまま、とりあえずの新しい私に化けた。その後、念願の友人第一号を手に入れることとなる。

 これから人里に降りようとするターザン諸君、まずは服装と髪型から徐々に世間に慣れていくことをお勧めする。